テストマーケティングのやり方をご紹介~新商品だけじゃない、店頭施策のテストマーケティングのすすめ~
メーカー様の中には「新商品の認知度が上がらない」「既存商品の売上が上がらない」とお悩み方も多いのではないでしょうか。特に新商品を発売する際には、もちろん自信がある一方で「果たして売れるだろうか」と不安になることも、少なからずあることと思います。発売前に、商品を試しに市場に出してみることができたら、その不安が払拭されるのみならず、本格的な発売に向けて新たな可能性が見えてくることもあります。
今回は、テストマーケティングの目的や手法、また注目したい「店頭施策のテストマーケティング」についてお伝えします。
1.テストマーケティングとは
テストマーケティングとは、新しい商品やサービスを発売するときに試験的にユーザーに利用してもらい、売れ行きや消費者の動向を知るための手法です。
販売する前に予測を立てることができれば、売れない商品を大量生産したり、それに伴い在庫を抱えるといったリスクも回避できます。
2.テストマーケティングの目的
テストマーケティングの目的は、大きく分けて3つあります。
1)商品・サービスに対する客観的な判断
実際に販売してみると、売れた売れないという結果だけでなく、良い評判やクレームといった、現場の声も聞こえてきます。商品を作る側の目線ではなく、消費者側の目線による客観的なデータを得られる良い機会です。
2)ターゲットの明確化
予めターゲット層を決めていても、いざ販売してみると、想定していなかった層から好評を得ることがあります。考えていた戦略やコピーなどを大きく変えるなど、軌道修正のきっかけが得られます。
3)リスク軽減
本格的に生産してからニーズがなかった、では損失が大きく取り返しがつきません。
事前にニーズを調査することで、そのリスクを軽減できます。
3.テストマーケティングの具体的な手法
テストマーケティングの手法紹介
テストマーケティングには、様々な手法があります。
代表的なものを以下にまとめます。
手法 | 内容 | |
---|---|---|
オフライン | 店頭販売 | 機関・エリアを限定し、実在する店舗で試験的に販売する |
モニター調査 | 新商品のサンプルを使ってもらい、アンケートやインラビューにより、フィードバックを得る | |
会場調査 | 調査対象を指定の会場に集めて、アンケートやインタビューにより、フィードバックを得る | |
オンライン | Webモニター | Web上でユーザーにアンケートを回答してもらう |
SNS | SNS投稿に対するコメントや「いいね数」などでユーザーの反応を確かめる | |
クラウドファウンディング | クラウドファウンディングで受けられる支援量を目安に、アイデアやコンセプトの魅力度を測る |
商品や業態により、適した手法は異なる
売りたい商品やサービス、また業態によっても、適した手法は異なります。
食品メーカーにおける調査を想定し、各手法のメリット・デメリットを見てみましょう。
手法 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
オフライン | 店頭販売 | 実際と近い状況でテストできる | 時期やエリアについて詳細な考慮が必要 |
モニター調査 | 率直な意見が聞ける | 商品の管理がモニター任せになる | |
会場調査 | 直接インタビューして詳細な意見が聞ける | 会場の確保や配送などでコストがかかる | |
オンライン | Webモニター | 短時間で多くの意見を集められる | インターネットを利用しない、高齢者の意見は集まらない |
SNS | 手軽に調査が始められる | フォロワー数の獲得が必須 | |
クラウドファウンディング | SNSで告知することでPR活動も兼ねられる | 肝心の商品を手にしてもらうことが出来ない |
スーパーやドラッグストアなどで売ることを考えたとき、大切なのは「より本番に近い状況でテストすること」です。実店舗で他の商品と一緒に並べられたときに買うかどうか調査するには、この場合、店頭販売が最適と言えます。
4.新商品だけじゃない、店頭施策のテストマーケティング
店頭施策のテストマーケティングとは?
これまでに紹介してきたものは、新しい商品やサービスが「売れるかどうか」を検証する手法でした。テストマーケティングにはもうひとつ、「どうしたら売れるか」を検証する場合もあります。こちらは新商品に限ったことではありません。
店頭施策のテストマーケティングの流れ
限られた店舗で商品の陳列方法や販促物の設置による売上動向の違いなどを分析し、良い効果が見られたら、他店舗に水平展開します。店頭で施策を打つにも人手や時間などの資源が必要であるため、水平展開をする前に効果を試すことは有益です。
売上予測のAI、実践のラウンダー
上記のような調査を支援するため、AIを使って売上予測をシミュレーションするサービスも登場しています。
大日本印刷、発売前の商品のテストマーケティングを支援するサービス開始
AIを活用するメリットは、購買行動のデータ化やビックデータの取り込みにより売り上げ予測の精度を高め、販売ロスや廃棄ロスを極限まで減らし、売上と利益の向上が見込めることです。今後も更に進化するでしょう。実際にAIを活用した自動発注システムを導入するチェーン企業も増えてきています。
一方、大きな課題もあります。それはリアル店舗での適合性が低い点です。
具体的には来店客の変動、売場スペースの多様化、店頭在庫の管理、MD企画の実現、販促物設置とメンテナンス、売場担当者の教育などが挙げられます。
理論上の実施期間や商品陳列位置、フェース数、POP設置場所、在庫数などのいずれか1つでも欠けると、検証の前提が崩れてしまう脆さをはらんでいます。AIを取り入れたテストマーケティングの考え方は有効ですが、実践から成果に結びつけるためには、売り場を知り尽くしたラウンダーのサポートが必須となるでしょう。
ラウンダーについて詳しくはこちら
店舗巡回(ラウンダー)とは?店舗巡回のメリットと成功事例
5.成功事例
ここまでテストマーケティングの手法や特徴についてご紹介してきました。
ここからは、ラウンダー業務を行っている弊社株式会社アッセ’のサービスを導入いただき、店頭にてテストマーケティングを実施したメーカー様の成功事例を見ていきましょう。
事例1:テスト店舗で1日の販売数が1.9倍に、その後35店舗へ拡大展開
大手漬物メーカー様
課題
カレーの人気に対して、親和性が高いはずの福神漬けの販売が伸びない
仮説
カレーと福神漬けの売り場が離れていると、福神漬けの販売チャンスロスが発生してしまう
テストマーケティングの内容
福神漬けをカレールウ売り場の隣でフロアーBOX什器で展開した(日配と加食のクロスMD)
※クロスMD・・・複数の異なるカテゴリーの商品を組み合わせた陳列・演出方法のこと
テスト結果
通常陳列時:日販12袋
展開後:日販23袋(1.9倍)に伸びた
仮説検証で成果が出たので、35店舗に展開
事例2:ターゲットを男性から女性へ、真逆の発想で実績伸び水平展開
美容コスメメーカー様
課題
男性向け角質ケア商品を開発したが、販促費も限られており販売が伸びない
仮説
自ら美に対してお金をかける男性は少ないが、「夫や彼氏にプレゼントし綺麗になってもらう」という需要がある
テストマーケティングの内容
女性スキンケア売場で男性用女性用のペア販売企画を実施した
テスト結果
男性用、女性用ともにPOS実績が伸びた
仮説検証で成果が出たので、他店へも水平展開
まとめ
テストマーケティングには様々な手法があり、一般的には新商品の発売に関するものと思われがちですが、今回取り上げたような、新商品に限らない「売り方におけるテストマーケティング」もぜひ取り入れてみて下さい。
弊社株式会社アッセ’では『売上げに直結する売り場づくり』をモットーに、売り場のメンテナンス/売り場づくり/販促材の設置業務/商品管理(未採用商品の取り扱い交渉や発注促進など)/店舗担当者との交渉/情報提供/情報収集など、非常に幅広い業務が対応可能です。
営業スキルが高いラウンドスタッフを店頭に派遣し、店舗担当者との交渉やヒアリング、戦略実施や陳列状況の管理などを徹底しています。また、効果検証を踏まえメーカー様への戦略提案なども行っています。
- 自社商品の売上が芳しくない店舗や地域がある
- 自社商品の売り場スペースが確保できない
- 商品販売戦略が店舗で反映されていない
- 店舗をこまめに回って店長や売場責任者とコミュニケーションを取ることが難しい
といったことでお悩みのメーカー様は、ぜひ一度お問い合わせください。