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コロナ禍で消費者の購買行動が大きく変化している昨今、店頭販売において売上を維持すること、ましてや試食やサンプリングなどの販促活動ができない中、売上を伸ばすことは難しい局面にあります。
そこで今回は、店頭での販促(プロモーション展開)に焦点を当て、販促物の種類や目的、現状の課題と対策方法を解説します。
店頭販促に課題を抱える担当者様はぜひご参考にしてください。

1店頭販促とは 〜種類と特徴〜

店頭販促とは、実店舗の店頭にて商品を購入してもらうための施策や活動のことです。

「プロモーション」と言う意味では、多くの人に向けての情報発信を行う宣伝・広告も含まれますが、「店頭販促」は消費者に向けて実店舗で売るための施策になります。

この記事では、一般的な店頭で行う販促ツールの種類と特徴をご紹介します。

POP

商品価格や新商品の告知、店舗スタッフからのおすすめコメントなどを記したステッカーなどで、当該商品付近の什器に添付されます。
アイキャッチとなり、店側がどの商品を売り出そうとしているか、どの商品がお買い得なのかを消費者が把握するきっかけになります。

インストア動画(デジタルサイネージ)

店内や店頭の商品が陳列されている棚に設置され、ディスプレイモニターを用いて情報を発信するメディアです。
文字情報だけでなく、映像・BGM・音声を使用して多くの情報を盛り込むことができ、通路を通る消費者の目や耳に留まり、注意を惹きつけることができます。

出典:イオンアイビス株式会社 オムニチャネル推進部​​

エンドプロモーション

店内に配置されている陳列棚の両端のことをエンドといいます。
出入り口に近いエンドは来店したお客さんがまず最初に見るスペースです。
また、レジの向かいにあるエンドはレジに並ぶお客さんの目に留まりやすく、衝動買いが発生しやすいエリアです。

例えば、出入口付近のエンドには季節商品やキャンペーン商品を陳列し、レジ前のエンドにはついで買いしやすいガムやアメ、栄養剤などを配置するなど、各店舗で工夫を凝らしています。

イベント

店頭やイベントスペースにおいて行う販促イベントは、新規顧客の獲得や既存顧客のリピート購入を促すことにつながります。
イベントを開催する際には、事前に告知を行うことで広く認知活動が可能になります。また、イベントを目的に来店するお客さんも多いので店頭への集客効果が高まります。

対面での試食やサンプリングなどが難しい今は、サイネージの活用も取り入れるのも効果的です。

2店頭販促の意義 〜購入のきっかけを作ること〜

これらの店頭販促を行う目的は、単なる店先の賑やかしや、商品を綺麗に見せることではありません。あくまでも、自社商品を購入してもらうことです。
そのため「どうしたら消費者に自社商品を買いたいと思わせられるか」が店頭販促のポイントになります。

また、商品の売上アップを目指すには以下の方法があります。

  1. 来店客数を増やす
  2. 購入単価を上げる
  3. 来店回数を増やす

店頭販促は、2の「購入単価を上げる」ことを目的に実施します。

例えば、

というような「つい」や「思わず」など、購入のきっかけを作ることができれば、店頭販促は成功も同然です。

3店頭販促の現状

しかしながら、様々な要因で思い通りに行かないのが、店頭販促の難しいところです。
昨今の状況を踏まえ、ここでは店頭販促の課題を3つ取り上げ、その打開策をご紹介していきたいと思います。

課題①:販促ツールの約半分が使用されていない
課題②:コロナ禍は店舗への集客が難しい
課題③:店舗ごとの特徴と在庫を把握するのが難しい

課題①:販促ツールの約半分が破棄されている

メーカーの担当者にとっては耳を疑う話かもしれませんが、小売店に送付した販促物が使われることなく破棄されてしまっている現状があります。
あるドラッグストアの調査では、メーカーから届いた販促物のうち、約半分が使用されずに廃棄されていたと言います。

なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか?
原因は小売店の人手不足にあります。

各小売店のスタッフが販促物を受取って設置するまでには、以下のような工程があり、予想以上に手間がかかります。

この作業は、様々な業務をこなさなければならない店舗スタッフが合間を見て行わなければならないため、負担となっているのです。

それでは、どうしたら送付した販促物を活かしてもらえるのでしょうか?
販促物設置の専門スタッフを配置することが1つの解決策になります。

販促物の設置は、ラウンダー会社から派遣されたスタッフが請け負うことができ、以下の業務を行います。

  • 依頼を受けたメーカーの販促物を直接店舗へ持参(確実に設置ができるようになります)
  • 店舗の什器サイズに合わせて販促物を加工
  • 当該商品の陳列を見直し、販促物を設置
  • 商品について店舗担当者にレクチャー
  • 後片付け

この部分を専門スタッフに委託することで、販促ツールを廃棄されることなく活かすことができ、売り場が整えば店頭販促の効果も得られるので、売上向上につながります。

※ラウンダーの派遣についてはこちらで詳しくご紹介しています

課題②:コロナ禍は店舗への集客が難しい

コロナ禍では、幾度となく緊急事態宣言が発出され、実店舗での買い物が憚られる状況が続きました。そんな状況下で、今までインターネットで買い物をしていなかったシニア世代までもが、ネットショッピングを利用するようになり、実店舗へ出向く必要性が薄れてきています。

しかしながら、先に述べた「つい」や「思わず」などの購入動機は、ネットショップより実店舗の方が作りやすいと考えられます。そのため、コロナ禍においては、これまで以上に店頭での販促に工夫を凝らす必要があります。

それでは、どんな工夫を凝らせばよいのでしょうか?
それは、ネットショッピングでは出来ない体験を消費者にしてもらう事です。

例えば、ネットショッピングは便利さと裏腹に、実際の商品を手にとって検討することが出来ません。商品が届いて初めて、自分に合わないサイズだったことや、思っていた色と違っていたことなどを知ります。ネットショッピングで失敗したり、後悔している人も多いのです。

ネットショッピングのデメリットを踏まえて、実店舗ではリアルの良さをアピールできるような陳列が効果的です。

例えば、以下のような陳列で商品を手に取りやすくすることがポイントになります。

  • 日本人は右利きの人が多いので、戦略商品は売れ筋商品の右隣に陳列する
  • 十分な店頭在庫を確保し、同時に数人が手にとって確かめられるようにする
  • サンプルを置き「手にとって違いを体験してください」などのPOPで誘導する
  • こだわりや差別化について記載されたPOPを設置する

店頭には「安心」があります。その点において絶対の自信を持って販促していきましょう。

インストアマーチャンダイジングの詳しい解説はこちら

課題③:店舗ごとの特徴と在庫を把握するのが難しい

販促物が効果的に使われない状況を生む原因は、どこにあるのでしょうか?
実は、小売店・メーカー双方に要因があります。

小売店側の要因としては、以下の2つが挙げられます。

店舗の立地が異なれば、客層が違います。また、店舗の広さによっても、設置してある什器のサイズやレイアウトが違うため、使用に適する販促物は店舗ごとに変わってきます。

しかし、各店舗ごとに販促物作り分けるのは至難の技です。
もし店舗ごとに作り変えようとするならば、各店舗の特徴や什器サイズなどのデータを収集しなければなりません。

そして、メーカー側の要因は、この2点です。

店舗に販促物を設置してもらえるかどうかは商談で決まることが多いと思います。 販促物の設置が決定しても、メーカーの本部ではどこにどれくらい必要かがわからず、予測で制作しているのが現状です。

また、各店舗の在庫管理が難しいため、ある店舗では販促物が余っているのに、別の店舗では在庫を切らした状態が続き、販促のチャンスを損失する事態が起こってしまいます。

この状況を解決するには「PDCA」を回すことが重要となります。
PCDAを回すことで、店頭販促の効果的な戦略を立てることが可能になります。

店頭販促を行う際は、販促ツールを小売店舗に頒布するだけで終わらせず、「きちんと設置されているか」「店舗の客層にあったツールになっているか」「改善の余地はないか」などの効果測定を行い、改善施策を追求していくことが成功の秘訣です。

4店頭販促の成功例 〜店前通行・時間帯の変化に合わせた展開で売上アップ〜

店頭販促では各店舗ごとの特徴を把握し、それに合わせた販促(プロモーション展開)を行うことが大切です。

店舗の立地・広さ・客層はもちろんですが、時間帯によっても店前の通行量や通行人の属性(年齢・性別・職業)が変化します。
その変化を的確に捉えて店頭販促を行うことができれば、売上の向上につながります。

ここでは、その参考例をご紹介します。

作業服大手の「ワークマンさいたま佐知川店」は、毎日定刻(10時と16時30分)になると、職人(プロ)向けの「ワークマン」からカジュアル(一般)向けの「ワークマンプラス」へ店内が変身する新業態の店舗としてリニューアルオープンしました。

定刻になると、2分間で看板の店名が変化し、店内の照明や香り、BGMが一気に変わるのです。
例えば、「ワークマン」の時間帯は白く明るい昼光色の照明で、洗い立てのシャツのような清涼感ある香りとBGMにはロック、一方の「ワークマンプラスの時間帯は、柔らかい暖色系の照明とベルガモットティーを思わせる香りにアコースティックナンバーでリラックスタイムを演出し、店内の印象がガラリと変わります。

このように、ワークマンが新業態の店舗をオープンさせた目的は、売上向上です。
既存店舗では、平日の早朝と夕方は出勤前や仕事帰りのプロの職人が来店するのに対し、昼間や休日は主婦層やシニア、家族連れなどの一般客が多く訪れていることに着目し、客層に合わせて変身するという大胆なアイディアを展開したのです。

アウトドア人気の需要も追い風となり、同社では店舗数や1店当たりの売上げが急増中です。

※2020年10月には、さらなる新業態店「#ワークマン女子」1号店を桜木町にオープン。女子向けのアイキャッチとなるオブジェ(ピンクのバラに囲まれたベンチ)を店前に配置していますが、効果の高い店頭販促を取り入れています。

これは、店舗全体を巻き込んだ売上アップの戦略ですが、店頭販促においてもこの考え方はとても有効です。「この店舗のこの時間帯には、この客層(ターゲット)が多い」などの状況をしっかり把握して、時間帯でターゲットに合わせて陳列を変えたり、販促ツールを変えたりというカスタマイズまでできれば、店頭販促の役割と効果は絶大なものになっていくことでしょう。

5まとめ

店頭での販促について、現状の課題を取り上げ解説しました。
店舗側・メーカー側それぞれの要因が見えてきたことと思います。
課題解決の1つとして、店頭販促を専門とする会社と提携するという方法もあります。
長年に渡り現場で培ってきた販促ノウハウを持つ、株式会社アッセ’へお気軽にご相談ください。

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