インストアシェアを拡大して売上を伸ばそう〜知っておきたいマーケティング用語とインストアシェアの重要性〜
小売店舗で商品の売上を伸ばすためには、「インストアシェア」を拡大することが不可欠です。この記事では「インストアシェア」とは一体何か、なぜ重要なのかを解説するとともに、「インストアシェア」を理解する上で知っておきたいマーケティング用語を紹介していきます。自社商品の売上アップを目指す担当者の方はぜひご一読ください。
1メーカー営業担当が知っておきたい『インストア』に関する用語解説
「インストアシェア」の解説をするにあたり、類似した用語として『インストア』を頭に持つマーケティング用語をご紹介します。
『インストア』は「店内」という意味で、消費者が実際に買い物に訪れる小売店舗の「売り場」に関する用語です。
インストアマーケティング
小売店舗での売上を高めるための考え方全般のことです。
「フィールドマーケティング」や「店頭マーケティング」とも呼ばれます。
消費者との接点となる売り場に照準を合わせたマーケティングを行うことで、商品の売上向上だけでなく、様々な部分でのコスト削減も可能になります。
また、以降で紹介する施策は全てインストアマーケティングの1つであり、「インストアマーケティング」は、マーケティングにおける大きな分野なのです。
小売店舗数の増加で競争が激しくなり、消費者のニーズも多様化していく中で、従来の価格に頼った営業方法では売上が立たなくなった現状に対して、消費者のニーズを現場でキャッチし、施策に反映することが必要になったのです。
インストアマーチャンダイジング
インストアマーケティングの考え方を元に、消費者のニーズにあった商品を取り揃え、店内の什器に陳列する商品の数量・価格・タイミングを最適に保つことを目指します。
店内が雑然としていて、どこに欲しい商品があるのかわからない陳列の仕方では、販売チャンスを逃してしまい、売上を伸ばすことはできません。
言い換えれば、消費者のニーズにあった商品を揃え、わかりやすく陳列することが、売上アップに繋がるのです。
インストアプロモーション
売り場で行う施策のなかで、「宣伝」をポイントにした考え方です。
いかに消費者の購買心理に働きかけられるかがポイントとなり、価格主導型(店内広告、割引シールなど)と、非価格主導型(デモンストレーション販売、POP作成など)の手法があります。
2メーカー営業担当が知っておきたい『シェア』に関する用語解説〜
次に「インストアシェア」の『シェア=占有率』にまつわるマーケティング用語を紹介します。
営業担当者は、様々な角度から自社商品の占有率を把握しなければならない場面が多い事と思います。マーケティングにおいて、占有率は切っても切れない関係にあります。
文字通り、「インストアシェア」はインストア(=店内)におけるシェア(=占有率)のことですが、視点を変えると様々な『シェア』が見えてくるので、それぞれの関係性に着目しながら解説します。
マーケットシェア
市場占有率のことで、特定の市場の販売数全体の中で、自社の商品が占める販売数の割合(%)です。
例えば、同じカテゴリーの商品が全部で100個売れている場合、そのうち自社商品が30個を占めていれば、マーケットシェアは30%になります。
また、マーケットシェアは単に割合だけの話ではありません。マーケットシェアが高いメーカーの商品は、消費者が同じカテゴリー商品の中でどれを購入するかを検討する際、第一候補になります。
そのため、商品や企業のイメージに関わる重要な指標であり、売上を左右する要素なのです。
顧客内シェア
ある一人の顧客が購入した特定の商品群全体の金額や数量のうち、自社商品の割合のことです。「ウォレット(財布)シェア」と呼ばれることもあります。
この割合を把握することで、自社商品がターゲットの顧客にどの程度浸透しているかがわかります。1度購入したら数年は買い替えの必要がない家電などの商品ではなく、頻繁に買い替えが発生する化粧品、ファッション、エンターテインメント、菓子などの商品カテゴリーで重要な要素として捉えられています。
インストアシェア
特定の取引先(小売店)における同じ商品カテゴリーの売上高や販売数量のうち、自社商品が占める割合のことです。
例えば、取引先Aの総売上高が1,000万円で、そのうち自社商品の売上高が400万円の場合、インストアシェアは40%になります。
この値によって、取引先(小売店舗)における自社製品の相対的地位が把握できます。
ストアカバレッジ
特定地域における取引対象店のうち、自社商品を扱っている店舗の割合です。
例えば、地区内に100の小売店があるとして、自社の商品を扱っている店舗が50ある場合は、ストアカバレッジは50%になります。
この数値は、競合他社と自社の取引量における力関係を表しており、65〜80%のストアカバレッジを維持すれば市場に定着すると言われています。
3インストアシェアの重要性
それでは、なぜ「インストアシェア」が重要なのでしょうか?
小売店舗では、多数の競合商品を扱っています。その商品をどの場所に陳列するかは、小売店担当者の裁量によるところが大きいと考えられます。
その際、好立地な棚に置く商品として選ばれるのは、その店舗の中で一番の売れ筋商品、すなわちインストアシェアの一番高い商品です。
競合メーカーの商品に比べて自社商品のインストアシェアが低い場合は、優位性のある棚に陳列してもらえず、値切り対象にされてしまったりとあまり良い待遇を受けられなくなります。そのため、消費者からの認知度も低くなり、売上が低下するという悪循環を引き起こす可能性もあります。
逆に、自社商品のインストアシェアが高ければ、小売店が独自にPOPなどを作成し販促に力を入れてくれたり、他社商品との入れ替えなどの要望を聞いてくれるなど、良い循環が起きるのです。
また、インストアシェアの拡大は、必然的に売上の拡大に繋がります。
その際、着目しておくべきは、その市場の有力店舗(大規模店)における自社のインストアシェアです。
小型店舗でのインストアシェア30%と大型店舗での30%では、同じ割合でも売上高が異なります。そのため、マーケットシェアを高めるためには、母数の大きい大型店舗でのインストアシェアをどれだけ獲得できるかがポイントになるのです。
下図は、米国の数学者バーナード・O・クープマンがランチェスター戦略方程式を元に考案した市場占有率の法則です。
この法則によると、市場でトップになれる可能性があるのは、マーケットシェア26%からです。
売上を拡大するためには、取引している小売店のインストアシェアを高め、今自社が存在しているゾーンより上のマーケットシェアを目指していくことが必要となってきます。
4インストアシェアを高める方法
それでは、実際にインストアシェアを高めるためにはどんな方法があるかをご紹介します。
実は、この記事の前章で紹介した「インストア」を頭に持つマーケティング用語
- インストアマーケティング
- インストアマーチャンダイジング
- インストアプロモーション
これらは全て、インストアシェアを高めるための施策です。
メーカー営業担当が知っておきたい『インストア』に関する用語解説小売店の店頭にて調査・分析を行い、陳列などに関する戦略(スペースマネジメント)と店頭で商品を買いたくなる仕掛け(インストアプロモーション)を行います。
そして、その結果を再度 調査・分析し、店頭での陳列や宣伝を実施していく。
この繰り返しが、インストアシェアを高める方法に他なりません。
5インストアシェア拡大のためのラウンダー活用
また、もう1つインストアシェアを高める方法があります。
それは、店頭における「マーケティング」・「マーチャンダイジング」(陳列や宣伝)の業務を専門に行うラウンダーの活用です。
ラウンダーは、メーカーの営業担当者に代わって、小売店舗を巡回し、売り場の管理を行います。陳列に関しての専門知識を持ち、小売店担当者との交渉も行うため、インストアシェアを拡大するための大きな戦力になります。
参考:株式会社アッセ’のラウンダー業務(ラウンダー会社により、対応可能な業務内容は異なります)
ラウンダー活用の成功事例
ラウンダーを活用することによって、インストアシェア拡大に成功した事例がありますのでご紹介します。
首都圏大手スーパー130店舗に商品を流通している大手食品メーカーでは、特売を行っても販売数が伸びない状況でした。
そこで、ラウンダー会社が調査・分析を行ったところ、アウト展開のスペースがほとんどないこと、また人手不足でインストアプロモーションを実施する余裕がないことが分かりました。<インストアマーケティング>
そこで、全店舗をラウンダーが巡回し、各小売店の担当者に店頭販促ツールとしてダンボール什器の設置を交渉しました。<インストアプロモーション>
その結果、各店舗でラウンダーによる交渉が成立し、130店舗中85店舗(65%)に什器を設置することができ、昨年比190%の売上高となりました。<インストアシェア拡大>
また、インストアシェアを拡大できたことにより、小売店舗での位置付けが競合他社に比べて優位となり、その後の営業活動もスムーズに進行できるため、売上を維持できています。
6まとめ
インストアシェアは、小売店を顧客とするメーカーにとって、小売店での自社の位置づけ、消費者からの認知度を分析するための重要な指標です。
インストアシェアを高めることは、市場のシェア拡大に繋がります。
インストアシェアをはじめ、店頭での施策にお困りのメーカー様は、株式会社アッセ’へお気軽にお問い合わせください。
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